介護保険制度と介護報酬
介護保険制度と介護サービス費用
介護サービス費用の流れ
介護保険制度は、市町村から要介護または要支援の認定を受けた高齢者等が、必要な介護サービスを利用し、その費用の1割を利用者が自己負担し、残りの9割は保険者からサービス事業者に支払われる仕組みです。(※1)
介護保険制度の財源は公費と40歳以上の国民が納付する保険料(※2)であり、介護サービスをめぐる費用の流れは図表1のとおりになります。
図表1 : 介護サービスをめぐる費用の流れ介護報酬と支給限度額
介護給付費/介護報酬
介護サービスの費用は、サービスの種類ごとに厚生大臣が定める基準により算定します。(※3)
サービスの種類別に「訪問介護」「訪問入浴介護費」などの名称が与えられていますが、これらを総称して「介護給付費」といい、一般に「介護報酬」と呼ばれています。介護給付費または介護報酬は、前途のとおり、そのうちの1割が利用者から事業者に直接支払われ、残り9割が保険者から事業者に支払われます。
介護報酬の種類
介護報酬は、図表2に示す16種類のサービスについて、定められています。(※4)
図表2:介護報酬一覧サービスの名称 | 介護報酬の名称 |
---|---|
(a)居宅サービス(12種類) | |
(1)訪問介護 | 訪問介護費 |
(2)訪問入浴介護 | 訪問入浴介護費 |
(3)訪問看護 | 訪問看護費 |
(4)訪問リハビリテーション | 訪問リハビリテーション費 |
(5)居宅療養管理指導 | 居宅療養管理指導費 |
(6)通所介護 | 通所介護費 |
(7)通所リハビリテーション | 通所リハビリテーション費 |
(8)短期入所生活介護 | 短期入所生活介護費 |
(9)短期入所療養介護 | 短期入所療養介護費 |
(10)認知症対応型共同生活介護 | 認知症対応型共同生活介護費 |
(11)特定施設入所者生活介護 | 特定施設入所者生活介護費 |
(12)福祉用具貸与 | 福祉用具貸与費 |
(b)居宅介護支援 | |
(13)居宅介護支援 | 居宅介護支援費 |
(c)施設サービス(3種類) | |
(14)介護老人福祉施設 | 介護福祉施設サービス費 |
(15)介護老人保健施設 | 介護保健施設サービス費 |
(16)介護療養型医療施設 | 介護療養施設サービス費 |
介護報酬の単位
介護保険制度の保険者は市町村であり、地域の事情を勘案しつつ運用されるのが前提となっています。
そのため、介護報酬も全国統一単価とせず、「円」ではなく「単位」で定められています。そして、単位を円に金額換算する際に、地域差を考慮に入れた5段階の「換算レート」が設定されています。
介護報酬とは何か
居宅サービスの支給限度額
介護サービスのうち、居宅サービスには、サービスの種類別の介護報酬のほかに、要介護度ランクに応じた支給限度額が設定されています。支給限度額は、図表3のように「訪問通所系サービス」と「短期入所サービス」に分かれて管理されています。(※5)
#尚、訪問通所系サービスには、以下の7種類のサービスが含まれます。
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリステーション
- 通所介護
- 通所リハビリステーション
- 福祉用具貸与
#また、短期入所サービスとは、以下の2種類のサービスです。
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
#従って居宅サービスであっても、
- 居宅療養管理指導
- 認知症対応型共同生活介護
- 特定施設入所者生活介護
は支給限度額管理の対象外となります。また、
- 4.居宅介護支援
訪問通所系サービス | 短期入所サービス | |
---|---|---|
要支援 | 6.150単位 | 7日 |
要介護1 | 16.580単位 | 14日 |
要介護2 | 19.480単位 | 14日 |
要介護3 | 26.750単位 | 21日 |
要介護4 | 30.600単位 | 21日 |
要介護5 | 35.830単位 | 42日 |
介護報酬の請求
介護報酬請求の流れ
介護報酬の請求(保険者に対する9割の請求)は、利用者ごと、1か月ごとに行なわれます。 介護報酬請求の流れは、図表4のとおりです。
サービス事業者は、1人の利用者に対して1か月間に提供したサービス内容のすべてを介護報酬明細に入力・記入し、翌月10日までに国民健康保険団体連合会に提出します。連合会では、これを審査して、記載ミス等がなければ保険者である市町村に送付し、市町村の払込みを受けて翌々月末に事業者に報酬を支払います。 (※6)
図表4 : 介護報酬請求の流れ