訪問調査とは

訪問調査の委託先は介護支援事業者と介護保険施設

要介護認定のための訪問調査は、保険者である市町村が行ないます。
この訪問調査を市町村は介護支援事業者、および介護保険施設に居宅することが出来ます。このため、訪問調査には次の3種類の方式が出来ます。

  • 市町村の議員が全て行なう
  • 介護支援事業者と介護保険施設に全て委託する
  • 市町村の議員と介護支援事業者や介護保険施設の両方が行う

実際は(3)のケースが多いようですが、東京の江戸川区のように(1)を基本にしている市町村もあれば、神戸市のように(2)を基本にしている保険者もあります。

ここには市町村の介護保険に対する取り組み方の差異が明確になっています。

いわば(1)は居宅介護支援センターを区域に配置し、そこの中心に市町村の職員が訪問調査員になる市町村主導型であり、(2)は在宅サービス事業者に訪問調査を委託する型です。

ただし、介護支援事業者に委託した場合でも、任せきりにせずに一定期間ごとに市町村も調査することになっています。

市町村から委託は、市町村が独自に判断するので、特に募集を受け付けることはありません。ただし調査は準公務員として行ないますので、不正は罰せられます。

訪問調査員の職種

市町村の職員で介護保険の調査員になる人は市町村が選任します。1998年度に実施されたモデル事業の例では、保健婦(33.7%)、看護師(20.4%)、介護福祉士(14.8%)、ソーシャルワーカー(8.7%)など、保険・医療・福祉の専門家です。常勤、非常勤は問われませんが、所有の研修を受けた人になります。

訪問調査ではどんな点が調べられるの?

要介護認定は重症度の認定ではなく、「どのくらい介護保健サービスが必要か?」を調べるものです。そのため、重症度とサービスの必要度とは一致しない場合があります。

調査は、自宅にいる人はその人の自宅で、施設に入所している場合には、施設で行なわれます。 調査の方法は聞き取りながら行うのが普通ですが、視力については絵を見せて見えるかどうかを聞くこともあります。

調査表は全国統一のものが73項目と特別な医療についてのものが12項目、合計85項目にわたります。73項目の内容は次の5つの分野に分かれていて、それぞれの必要時間数が計算されます。

  • 直接生活介助:入浴や排泄、食事などの介護など
  • 間接生活介助:洗濯、買物、掃除などの日常生活の世話
  • 問題行動関連:徘徊したり、便をいじるなどの不潔行為などの後始末の対応
  • 機能訓練関連行為:飲み込みの訓練や歩行訓練などの身体機能の訓練や補助
  • 医療関連行為:呼吸管理やじょくそうの処置など診療補助行為

具体的な調査方法は調査員がまず対象者の氏名・住所・連絡先や現在利用している福祉サービスについて聞きます。次に視力や聴力について確認し、続いて「片手がどのくらい上がりますか?」「食事のときに飲み込みはいかがですか?」「トイレはどのようにしていきますか?」といった具合に、1つずつ質問しながら1つの項目について3段階別(たとえば、できる・条件付きでできる・できないの3段階)に状態をチェックします。

本人だけではなく、家族の意見も聞き、必要な場合には「ゆっくり立ち上がって下さい」と、実際に行動をとってもらったりもします。

このように5分類して得られた状態を、事前に得られたモデルの状態像に照らし合わせます。そのモデルには算出したデータをもとに基準時間が出されており、その状態像に近い要介護認定基準時間を推定することになります。

中間評価項目7分類

こうして得られた調査結果は、認定作業でのコンピューターによる一次判定に使われます。ただし、一時この判定に疑問が出されました。そこで、データ集計方式の一部が修正され、新たに追加になったのが、次に掲げる7群別の中間評価項目です。

  • 麻痺・拘縮に関する項目
  • 移動等に関する項目
  • 複雑な動作等に関連する項目
  • 特別な介護等に関連する項目
  • 身の回りの世話等に関連する項目
  • コミュニケーション等に関連する項目
  • 問題行動に関連する項目

これらはそれぞれの項目ごとに100点満点で評価され、機能が低いと0点になります。この得点を判定の参考にします。

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