生きることのすばらしさ

脳梗塞で老人ホームへ入った家内を介護しているといろいろ珍しい体験をする
家族の家ひまわり板橋は板橋区上板橋に在って、三英堂商事の経営であるが、社長は私の生まれ故郷の隣り部落の出身。そのことはホームに来て初めて知った。時たま会って話しをするが、話題の中心は郷里の田舎をめぐるよもやま話。

家族の家ひまわり板橋の現在員は、50人足らずの入居者とその世話をするホーム・スタッフ20数名
私の入居した初めは男の入居者は2人だけ、男のホームスタッフも1人だけであったが今は入居の男性10人を超え、スタッフも男性10人余を数える

スタッフの世話は朝・昼・夕の食事と午後3時のお茶への送り迎え。大半は車椅子で食堂へ運ばなくてはならない
それに週2回の入浴。ここへも車椅子で運び、身体の不自由な者はリフト付で入浴ができるようになっている。比較的からだの自由な私でもスタッフが寄ってたかって身体を洗い、顔のヒゲを毎度剃って貰える
入浴者はただハダカになればそれで済むのである

ここまで書いてくるといささか宣伝めくようで気が引けるが、毎月、入居者の誕生会を祝う集いがあり 該当者の前にキャンドルが灯り一同でさまざまの祝歌を唱う
春はバーベキューの宵、秋は室内大運動会。その第1回目に私は球ころがしに1等となり「孫の手」などの賞品を貰った
随時、書道教室・絵画教室・俳句の会・生花教室などが開かれ、作品は廊下の壁に貼り出される

私は夏の書道教室で「生きることはすばらしい死ぬることも亦すばらしくありたい」という柳田国男先生の語を書いた
それを入居者の佐藤はぎ能さんが取りあげてりっぱな額装にして自室を飾った

私には16歳で亡くなった「萩野」という姉がいた
死別して80年近くになるがはぎ能さんが私の恩師・柳田国男の語を取りあげて額装されたのも何かの因縁であろうか

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