機能訓練指導員の挨拶

家族の家ひまわり船橋に勤務する前は、病院で10年間、リハビリ科に在籍し、ただ機能訓練に力を注いでいれば問題ありませんでした。施設に勤め始めてまず第一に感じたことは、自分の仕事だけしていたのでは、利用者の皆様の生活は回っていかないという事でした。

朝出勤して、施設に一歩足を踏み入れた時点で、私は施設の一員、利用者先生との一日が始まっているのです。ロビーに集まっている皆さんの顔色を確認し、いつも笑顔で迎えてくださる利用者様がそこにいらっしゃらないと、「何かあったのかしら」と不安が心をよぎることも多いです。高齢の方が多い施設では当たり前なのかもしれませんが、一日の全てが機能訓練であり、分業で一日の生活を送っている病院では感じ取ることのできない経験です。

私が元気で働ける楽しさ、この思いをご利用者様にも届けたくて、時間の許す限りのグループリハビリ、個別リハビリと多様なプログラムを組んでいます。今は手指訓練として布ぞうり編みに挑戦しているのですが、利用者様と模索しながら出来上がる日を待ち望んでいる日々です。

身体機能や体力には個人差があるため、個々の体力や目的にあったトレーニングプログラムを立て、一人一人に合った訓練を行い、少しでも利用者様の機能回復に時間を注ぎたい、その一心で毎日を過ごしております。利用者様から「先生、今日は何をするのですか」と期待され、声かけされた時、前向きな利用者先生に頭の下がる思いがします。

家族の家ひまわり船橋で生活されているご利用者様には、出来る限り新鮮な、刺激ある日常を送っていただくために、年間を通じて各月の催し物、行事等たくさんのイベントを計画しておりますが、常にサポートさせていただき、計画実行のお手伝いをさせていただいております。

年の始めには、厳かなBGMで、1年の始まりを思っていただき、2月は節分、3月はひなまつり、4月花見、5月端午の節、母を想う会、6月外食ツアー等、皆様の笑顔を次のステップの後押しにさせていただきながら・・・

食事時には特に嚥下状態に気を配り、歩行時には転倒等なき様、注意、見守りにも気配りをしながら、皆様と手を取りあっての生活だと考えております。

今、施設のなかで一つの喜びとしているのが、利用者様のN.N様のこと。私が勤務し始めた時は、外来リハビリを各週で月2回程度訓練に行かれていて、歩行は自立で時々の一部介助。散歩もお好きで、外気浴と風景を楽しみながら、時間の許す限り歩かれていました。

昨年8月中旬体調を崩され、約4ヶ月間の入院。退院後は車椅子駆動の練習から入りましたが、退院後2週間もすると自分で立ち上がり一部介助にて歩行も可能に。何にも増して、本人のリハビリへの意欲が一番の希望でした。元の生活に戻りつつある中、退院して4ヶ月後、気管支肺炎のため、再度入院。一時は嚥下状態も悪く、胃ろうの話も出ておりましたが、1ヵ月後に帰設。

約1ヶ月の入院で、膝関節の拘縮が進行、食事も10日間は居室対応にて全介助。しかし退院後2週間目頃から、自力で食事も摂取されるようになり、他の入居者様と食堂で会話しながら食事を召し上がられるようになりました。

歩行も介助で実施はしたものの、2、3歩歩くと膝折れし、ご自分の体の維持ができない様子。今までのように、自分の足では歩けないのか・・・。私は時間の取れる限り関節可動域訓練マッサージは続けてきました。

退院されてから約1ヶ月、椅子からの立ち上がりの訓練をしていると、安定した立位を維持し、5~6m一部介助にて歩き出されたのです。それからは毎日、少しずつ距離を伸ばし、ご自分の部屋の往復をするまでになられました。今日も少し歩きたい!と声かけされ、歩行練習、膝の関節も心なしか可動域が拡大されている様な感じがします。

人間にとって動くことは生きることの基本。寝たきりを私たちから作らないよう、日々勉強して、人生の先輩と毎日の生活を楽しんでいかれる様、お手伝いができればと考えております。


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